花粉症治療あれこれ

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神戸朝日病院 薬剤部長  金 啓二
2004年 02月 20日
今日は、「花粉症治療あれこれ」 というタイトルで、お話しいただきます。毎年この季節になると花粉症のお話がありますが、また辛い季節の到来というところですね。そもそも花粉症とはどういった病気なのでしょうか?
  人間の体というのは、体の中に異物、つまり自分の体にない物質が体の中に入って来た時に、それを排除しようとする働きがあります。これを免疫反応といいます。本来この免疫反応というのは体を守るためにあるのですが、これが過剰に反応してしまうのがアレルギーです。
  花粉症は、アトピー性皮膚炎や喘息などと同じアレルギー疾患の一つと言われています。本来害のない花粉を体に有害なものとして認識し、くしゃみや鼻水などで体外に出そうとするアレルギー反応の一つです。
  花粉が体内に入ると、花粉に含まれている抗原、即ちアレルゲンが溶け出してリンパ球と反応し、それに対抗する抗体が出来ます。この抗体は、肥満細胞と呼ばれる細胞と結合しやすい性質があり、鼻や目の粘膜に分布している肥満細胞の表面にくっついて、再び花粉が入ってくると、肥満細胞は、ヒスタミンやロイコトリエン、サイトカインなどのいくつかの刺激物質を放出して、花粉症の症状が起こります。ヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインは総称して化学伝達物質、ケミカルメディエーターと呼ばれています。
  ヒスタミンというのは、知覚神経を刺激して、くしゃみや鼻水、目のかゆみや涙目などを起こします。ロイコトリエンは、血管に作用して鼻詰まりを起こします。サイトカインは、白血球の成分の一つである好酸球などの炎症細胞を鼻粘膜に集めて、鼻粘膜に炎症を起こします。


なるほど。そういうわけで鼻水とかくしゃみとか目の痒みなどが起こるのですね。肥満細胞というのは、肥える肥満という漢字を書くのですか?
  そうです。漢字で書くと肥える肥満ですが、体重が増えるという肥満とは全く関係ありません。細胞の形が膨らんでいるので、そう呼ばれています。

それで治療ですが、どういう治療があるのですか?
  治療は、基本的に飲み薬を上手く使い分けることが大切です。シーズンに合わせて早めに飲んでおくということです。
  お薬の説明をしますと、ケミカルメディエーター遊離抑制薬と言われる薬があります。先程紹介しましたヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインといった化学伝達物質が、肥満細胞から出てくるのを抑える働きをします。効果が出てくるまでのおよそ2週間かかると言われ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりという花粉症の三大症状にある程度効果があります。しかも眠気や口の渇きといった副作用がないお薬です。次に抗ヒスタミン剤ですが、古いタイプの第1世代の抗ヒスタミン薬と新しいタイプの第2世代の抗ヒスタミン薬の2種類があります。



 古いタイプの第1世代の抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から出たヒスタミンの刺激を一時的に抑えます。即効性があり、くしゃみ、鼻水に効果がありますが、鼻詰まりにはあまり効果は見られません。薬を飲んで10〜数10分で効果が出てきます。ただ効果が短いということと、眠気、口の渇きといった副作用もありますので、車の運転とか高所で仕事をされる方は避けたほうがよいかもしれません。


 新しいタイプの第2世代の抗ヒスタミン薬は、第1世代に比べて眠気や口の渇きといった副作用が少ないので、広く使われています。第1世代より効き目が穏やかで効果が現われるまでに1日〜2日かかりますが、効果は比較的持続します。肥満細胞から出たヒスタミンの刺激を抑えると共に、肥満細胞からヒスタミンが出るのを抑える作用もあります。くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみや涙目に効果があり、第1世代の抗ヒスタミン薬に比べて眠気とか口の渇きといった副作用が少なくなっています。



 そして抗ロイコトリエン薬です。ロイコトリエンが血管に作用して、鼻詰まりを起こしますので、それを抑制し、同時に鼻の粘膜が炎症を起こして過敏になるのを抑えます。鼻詰まりやくしゃみ、鼻水にも効果があり、副作用は殆どありません。効き始めるまでに、およそ1週間かかり、効果がピークに達するのに4週間くらいかかると言われています。


では、そのようなお薬をいつくらいから飲むといいのですか?
  一般的に、花粉の飛ぶ時期の1〜2週間くらい前から飲むのがいいといわれています。具体的には、なかなか判断出来ないのですが、ちょっとむずむずし始めたら、そろそろ治療開始時期だと考えるとよいと思います。

その他、くしゃみとか鼻水の症状が出始めたら、目薬とかがありますよね?
  目薬は、抗アレルギー薬の点眼薬が主流です。他にもステロイド薬の目薬もありますが、眼圧を上げるという副作用がありますので、主治医や薬剤師の先生によく相談したほうがいいと思います。

鼻に噴霧するお薬もありますよね?
  点鼻薬では、ステロイド薬がよく使われます。薬を鼻の中に噴霧して粘膜のアレルギー反応を抑えるものです。およそ使い始めて2日ほどで効果が見られます。使い方や、1日何回噴霧するとか1回に噴霧する回数などについては、主治医や薬剤師の先生によく聞くようにして下さい。

これからシーズンに入りますが、注意することは何かありますか?
  自分のもらったお薬が、眠気とか口の渇きといった副作用があるかどうか、そして今他に飲んでいる薬との飲み合わせが大丈夫かどうかを確認された方がいいと思います。

2006.3.29修正

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