ラクナ梗塞

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兵薬界 No.553,2002年2月号
2002年 02月 01日
  脳血管障害では、脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞などに分類され、また脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞などに分類される。

  ラクナ梗塞のラクナとは、小さな空洞という意味で、脳の深部や脳幹に見られる小さな梗塞巣を指す。その原因は、脳の深部を灌流する極細い穿通枝動脈の脂肪硝子変性あるいは血管壊死による閉塞と考えられている。これらの血管変性は高血圧と関連が深く、梗塞と共に血管破綻による出血の原因にもなるといわれている。

  ラクナ梗塞は、典型的には半身の運動麻痺のみ、知覚麻痺のみなどで発症するが、その部位によっては発症時期が明らかでなく、特に高齢者においては梗塞の数の増加と共に意欲低下や痴呆の原因となることもあり、その対応に苦慮することも多い。

  ラクナ梗塞は、一般的には15?以下の小梗塞で、典型例では半側の不全運動麻痺の例、感覚障害のみの例、失調を伴う片麻痺などの症状を呈する。しかし高齢者において、明らかな脳卒中発作の既往がなく、緩徐に進行する意欲低下、性格変化、夜間せん妄などがみられ、画像診断にて小梗塞が脳基底核、大脳白質などに多発している例をしばしば経験する。こうした例が更に進行すると「脳血管性痴呆」と呼ばれる状態となる可柏ォがある。

  ラクナ梗塞は、高血圧との関連が強いが、アテローム血栓性脳梗塞と同様の高脂血症、糖尿病などのリスクファクターを有するケースも多い。梗塞の成因の中心は血管壊死に伴う閉塞と考えられているが、血小板血栓の関与が疑われる例もある。しかし、抗血小板薬がラクナ梗塞再発蘭hに有効かどうかについては否定的なデータが多い。そのため再発蘭hには血圧の管理が中心となり、脳循環改善薬や脳代謝改善薬を症状に応じて使用する。アテローム硬化のリスクファクターを持つ場合は、抗血小板薬を併用するが、脳出血の危険があるため要注意である。

  日本人に発症する脳梗塞の中では、ラクナ梗塞が最も高頻度で、40?50%を占める。欧米では心原性脳梗塞やアテローム血栓性梗塞が脳梗塞の多数派を占め、ラクナ梗塞は15%程度とされているのと対照的である。脳出血は日本では重要な地位を占めるが、欧米では10%以下である。ラクナ梗塞も高血圧管理の徹底で、今後は急速に減少すると卵zされる。

文献・市岡・Pharmavision Vol.3,No.1(2001)

文責:大平 洋

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