耳の生理とメニエール病

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兵薬界 No.560,2002年9月号
2002年 09月 01日
  耳は、外側から外耳、中耳、内耳の3つに分かれるが、メニエール病は内耳の病気。内耳には2つの役割があり、「音を聞く役割」と「体のバランスをとる役割」である。

  「体のバランスをとる機煤vは「半規管」と「前庭」という部分が担当する。リンパは半規管にあり、例えば、歩いたり走ったりした場合、リンパの流れ具合から、どちらの方向にどれぐらいの速度で動いているのかを感じ取る。その感覚は、前庭神経を通って脳に伝達される。また前庭には「耳石器」という器官もあって、小さな石が集まった結晶状のものによって、体の傾き具合などを察知する。ここで得られた情報も前庭神経を通り、脳に行く。

  メニエール病の原因は、結論から言えば「内リンパ(液)の増え過ぎ」。内リンパとは、半規管や蝸牛でつくられ、バランスをとる働きをした後、内リンパ嚢という場所に吸収される。こうして内リンパの量が一定に保たれているわけ。が、何らかの原因で内リンパが増え過ぎて、蝸牛管などが腫れてくることがある。これがメニエール病の起きる原因となる「内リンパ水腫」である。

  内リンパが更に増えると、内リンパ水腫が酷くなり、内リンパと外リンパを隔てている「ライスネル膜」を圧迫するため、破裂寸前の状態になり、「耳が詰まる」あるいは「軽い難聴」といった症状を引き起こす。

  更に内リンパが増加すると、終わりにはライスネル膜が破裂してしまう。すると、内リンパと外リンパが混ざり合う。元々、内リンパと外リンパは、カリウム濃度が違うことで的確な機狽

文献・深谷・NHK きょうの健康 No.162(2001)

文責:大平 洋

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