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兵薬界 No.575,2003年12月号 | |||
2003年 12月 01日 | |||
睡眠中の異常運動には睡眠時ミオクローヌス症候群、レストレス・レッグス症候群、金縛りがあり、異常行動としては夜驚症、ねぼけ、ねごと、悪夢、夜尿症などがある。異常行動は睡眠時随伴症とも表現される。 睡眠時ミオクローヌス症候群 睡眠時ミオクローヌス症候群は、本人が気付かないで同じような繰り返しの無意味な下肢の運動を素早く頻繁に繰り返す状態で、これが起こるたびに目覚めてしまう。高齢者に多い。 レストレス・レッグス症候群 レストレス・レッグス症候群は、入眠時や夜間でも中途で覚醒した時に、ふくらはぎや足底部に不快な感じが起こるもので、下肢を動かすと軽くなる。 金縛り 金縛りは、健常者の約半数は思春期から青年期に経験する。正しくは睡眠麻痺と呼ばれ、女性に圧倒的に多い。眼球運動や呼吸運動は障害されず、寝入りばな、目覚めに際して上から圧し掛かられるような圧迫感を自覚して、四肢や身体を動かすことが出来ず、発語も出来ないという経験である。時には恐怖感を伴うこともある。普通は数分以内に自然に軽快するが、周囲の人が触ったり刺激を与えると、直ちに消失する。入眠時レム睡眠との関係がある。 夜驚症 夜驚症は、夜間睡眠中に突如起こってくる強い怯えであり、急にベッド上に起き上がって、怯えた表情で悲鳴を上げたり、荒い息遣いで叫んだりする。数分で治まるが見当識障害があり、翌朝には思い出すことは出来ない。10歳前後の男児に多く思春期には消失する。脳発達の未熟性が関与するとみなされており、成人になると軽快するが、成人に起こる場合は心理的葛藤によることが多い。 ねぼけ ねぼけは、寝付いて暫くして覚醒する時に起こる錯乱の状態で、単純な動作で眠ったようにしながら手足を屈伸させる。小児に多く、成長につれて消失する。高度の場合を、夢中遊行症という。 ねごと ねごとは、睡眠中に突然単語を発したり、意味のある声を発するが本人は全く気付いていない。日中の出来事に関するものが多く、恐怖や怒り、あるいは命令みたいな阜サなどで、一過性に現れ、成長につれ軽減していくが、心理的葛藤や発熱時にみられる。 悪夢 悪夢は、レム睡眠時に起こる異常行動であり、生々しい夢による恐怖と不安によって目覚めてしまう。意識は清明で夢の内容を想起出来る。小児だけでなく成人にもみられる。 | |||
文献・中根・からだの科学 No.223(2002) 文責:大平 洋 | |||
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