高齢者の低血圧

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兵薬界 No.580,2004年05月号
2004年 05月 01日
 高齢者では慢性の疾患治療薬による他、加齢によって低血圧症状が生じやすくなる。「食後低血圧症」 は、食事した後に限ってだるくなったり眠くなったり、ひどい時は失神する起立性低血圧である。


 食後は胃や腸に大量の血液が集められ、たかが5リットルに満たない総血液量のうち、1.5リットルもの血液が集中するから、全身の循環血流が減少してしまう。デイケアセンターでは食後や入浴後に立ちくらみによる転倒や失神がみられる。


 具体的には、一度にたくさん食べることがこの病態を誘発するので1回の食事量を少なくして回数を増したり、水分と塩分を摂ったりする。そして、姿勢を変える時にはゆっくりと行う。めまいを警戒して横になっている時間が長いと、かえって病態を悪くする。血液の循環をよくするには1日5分でもベッドに座るように心がけたり、可狽ナあれば散歩をするのがよい。


 また、下半身に血液が溜まらないようにすることが大事である。静脈還流をつくっているのは筋肉のポンプ作用。体というのは使うだけのエネルギーしかつくらないメカニズムがある。低血圧はエネルギー産生を上げることを生活に組み込むだけで症状はかなり改善する。


 例えば、水中ウォーキングなどは低血圧の改善に有効である。水中では下に行くほど水圧がかかり、上に行くに従って力はかからない。下を締めて上を緩くするという理想的な運動である。水の力を利用しながら血管の伸縮をつくりこみ、結果、水の力を使わなくても筋肉でそれを維持出来るようになればいいわけである。


 低血圧症状を持っている人は、運動した後、体が抜けるほどだるくなる。これは体が温まることで血管が開き、血液が下方に沈んでしまうからで、運動途中でも同じことが起きる。これを避けるためには、必ず運動後、クーリングダウンをすること。水中にいる間は水圧で下半身が締められているので問題はないが、水から上がったら運動前にウォーミングアップをするように必ずクーリングダウンの時間をとる。途中あるいは運動後、血の気が引いたり気持ちが悪くなったり頭が痛くなるなどの症状が出た時は、頭を低くして足を上げるようにすると血が戻る。一度、血流の循環が完全に戻った状態にして、それから体を起こす。

文献・中野・毎日ライフ Vol.34,No.6(2003)
文責 : 大平 洋

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Hyogo Pharmaceutical Society 兵庫県薬剤師会

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